相続・相続放棄

【相続について】

相続登記とは?

相続登記とは、不動産(土地、家屋、マンション等)を相続した際に行う名義変更手続きのことです。相続による不動産の名義変更(相続登記)は、当事務所が最も力を入れております。

 

この相続登記の手続きは「法務局」という役所で行います。法務局は、不動産の所在地によって管轄する区域を分けていますので、例えば、同一地域に不動産が複数ある場合には、その物件を管轄する法務局のみで手続きをすれば足ります。しかし、複数の不動産が別の市区町村にまたがっているような場合には、それぞれの物件を管轄する法務局が違うということもあり得ます。その場合には、それぞれの法務局ごとに手続きをしなければなりません。登記の申請は、個人が法務局へ行って直接手続きをすることもできますが、法務局はあくまで申請書類を受け付ける役所ですので、書類作成のサポートまで十分に対応してくれないケースがあります。

 

 

相続登記の手続きは、必要書類が多いためそれらを集めるだけでも大変な労力と時間を要します。また、ある程度知識がないと書類の作成に戸惑うことが多く、何かと面倒なものです。
当事務所にご依頼いただければ、不動産や相続関係の調査、必要書類の取得・作成及び相続登記の申請まで面倒な手続きを全て行います。

 

 

相続登記にはいつまでにしなければならないという期限はありません。
しかし、

相続登記の手続きをせずにそのまま放置しておくと、以下のとおり様々な不都合が生じる場合があります。

 

  1. 相続登記に必要な除籍謄本や住民票の除票などは、役所の保存期間が過ぎると処分されるため、登記に必要な書類が揃いにくくなる。
  2.  

  3. 相続人が死亡してさらに相続が発生し、相続手続きに関わる人数が増える。全く顔を合わせたことがない親族と相続手続きを進めなければならなくなり、話し合いがスムーズにできなくなる。
  4.  

  5. 不動産を売却したくなっても、すぐに売却ができない。
  6.  

  7. 不動産を担保に金融機関からお金を借りようと思っても、すぐに借りることができない。
  8.  

  9. 他の相続人が勝手に法定相続分で登記をし、自分の持分を処分してしまうおそれがある。

 

このように、相続登記は被相続人の死亡後できるだけ速やかに対応することが求められます。何代も前から相続登記がされずに放置されているケースはよくありますが、いざ相続登記をするとなると、必要書類を集めて登記が完了するまでに数ヶ月から1年以上かかってしまうケースもあります。 
「不動産を現物として相続するのか」「売却してお金を分けるのか」「相続人を誰にするのか」等、検討すべき事項は少なくないですが、早めに決めて相続登記をすることで、前述したリスクを回避することができます。
安心かつ確実に不動産の名義変更を済ませるためにも、相続登記は専門家である当事務所におまかせください。

 

 

相続登記の3つの方法

相続には、大きく分けて3つのパターンがあります。

  • @法定相続による場合
  • A遺産分割協議による場合
  • B遺言書がある場合

状況に応じて、それぞれの方法により相続登記の手続きも進めていく流れになります。

 

@法定相続による相続登記

「法定相続」とは、民法で定められた法定相続分での相続の方法です。遺言書が存在しなかった場合には、法定相続分での相続登記が選択されることがあります。
例えば、法定相続人が母親と子供2名の場合には、相続分が母親が1/2、子供がそれぞれ1/4となります。この法定相続で不動産を相続する場合には、法定相続分と同じ共有持分割合により名義変更を行うことになります。

 

法定相続による相続登記では、遺産分割協議が不要になりますので、登記手続きの手間が少なくなるというメリットはありますが、将来的に不動産の共有に伴うトラブルが発生する恐れもあることは理解しておかなければなりません。
不動産が共有名義の場合は、賃貸や売却をするにも他の相続人の同意がなければ手続きを進めることができません。
共有者が常に自分と同じ考えであれば問題ないのですが、例えば、共有者である兄弟が亡くなったような場合、相続によって亡くなった兄弟の配偶者や子供が新たな共有者になってしまうことも考えられます。また、共有者が自分の持分を他人に譲渡してしまうことも考えられなくはありません。
こういった場合には、より自分とは関係性の薄い共有者が加わることによって、不動産の処分等について、更に意思統一が難しくなります。

 

法定相続による相続登記

メリット

〇 遺産分割協議が不要

デメリット

× 将来的に不動産の共有に伴うトラブルの発生の恐れ

 

法定相続分による相続登記は、将来的なことも見据えて選択する必要があります。法定相続を選択する場合も、専門家である司法書士のアドバイスを受けて手続きを進めるのが適切な対応です。

 

A遺産分割協議による相続登記

「遺産分割協議」とは、法定相続人が2名以上いる場合に、相続人の全員が遺産の配分などについて取り決めを行う話し合いのことを言います。遺産分割協議は、公平な相続の実現と共に、後に相続トラブルが発生しないようにすることが目的です。そのため、相続人全員の参加が必須要件で、1名でも不参加の場合には無効となります。遺産分割協議で決まった内容は、「遺産分割協議書」に記載して、相続人全員が署名・捺印(実印)します。遺産分割協議に基づく相続登記は、この遺産分割協議書を添付して申請することになります。
なお、相続人の中に未成年者がいる場合には、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらわなければならないケースがありますので、注意が必要です。また、認知症の方がいる場合には、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらわなくてはなりません。

 

遺産分割協議では、相続人がお互いに不公平感や不信感を感じることがないようにして、調停などの裁判に発展しないようにすることが肝心です。例えば、不動産の相続人は1名にする、その代わりに預貯金を別の相続人が相続するなど、円満な相続に向けての話し合いが求められます。

 

また、遺産分割協議をする際には、相続人が「海外に住んでいる」「連絡が取れない」などの事情により、協議できないという問題が発生することもよくあります。このような問題のあるケースにおいても、できるだけスムーズに遺産分割協議が進むよう司法書士がサポートいたします。

 

B遺言書による相続登記

遺言書がある場合には、遺言書の内容に従って相続登記の手続きを進めていくことになります。遺言書は、被相続人が亡くなる前にした最期の意思表明であり、相続においては最も優先されます。

 

遺言書でよく利用されるものとしては、自分の手書きで作成する「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人と証人2名の立ち会いのもと作成する「公正証書遺言」があります。

 

自筆証書遺言は、民法で定めた要件を満たしていないと遺言自体が無効になる大変厳しいものです。また、自宅で自筆の遺言書が見つかったとしても、その場で開封してはならず、家庭裁判所において「検認」の手続きをしなければなりませんので注意しましょう。

 

もし、「遺言書が見つからない」「自筆証書遺言の取扱いをどうすればいいか分からない」など、遺言書に関して不明点があれば、専門家である司法書士のアドバイスに沿って相続登記手続きを進めましょう。

 

 

【相続放棄について】

相続放棄とは、被相続人の財産をプラスの財産(預金、有価証券、不動産等)、マイナスの財産(借金等)を問わず全て自分が引き継ぐことを拒否する意思表示で、「相続放棄申述書」という書面を家庭裁判所に提出して行います。
相続放棄が認められると、相続放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人でなかったものとみなされ、相続放棄をした者の子や孫が相続することもありません。

 

相続放棄をすることのできる期間

民法では「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」相続放棄をしなければならないと規定されています。この三箇月の期間を「熟慮期間」といいます。
この熟慮期間が具体的にいつ開始するのかについては、例えば、相続人が被相続人の死亡は知っているが、相続財産は全くないだろうと信じていた場合などは、「自己のために相続の開始があったことを知った時」には該当しないとされています。
また、財産が多くプラスかマイナスかの判断が難しい場合や、財産が全国各地に点在している場合などには全財産の調査に時間がかかることが予想されるので、この場合には利害関係人から熟慮期間の伸長を家庭裁判所に請求することもできます。
なお、思いかけずご自身が相続人になっていた場合は、そのことを知った時から熟慮期間が始まります。必ずしも被相続人の死を知った時から始まるとは限りません。

 

相続放棄をする場合の注意点
1.相続放棄をすることができなくなる場合

相続放棄をする前に、たとえ相続財産の一部であっても、処分(売却や消費等)をしてしまうと、全ての財産を引き継ぐ意思表示(単純承認)をしたものとみなされ、相続放棄をすることができなくなります。
ただし、家屋の屋根を修理するなど財産の保存を目的とする行為は「処分」に該当しません。

 

2.思いがけず自分が相続人になってしまう場合

相続人となる者は、以下のとおり法律で順位が定められています。

 

民法上の相続の順位(配偶者は常に相続人となります。)
第1順位 子(養子も含む)
第2順位 直系尊属(父母や祖父母など上の世代)
※父母と祖父母がいる場合は、より親等の近い父母だけが相続人となり、祖父母は相続人にはなりません。
第3順位 兄弟姉妹

 

上記のほか、被相続人の子や兄弟姉妹が、被相続人よりも先に死亡していた場合、代襲相続といって、被相続人の孫やひ孫または甥や姪が相続人となります。
自分より先順位の者全員が、相続放棄などにより相続権を有しなくなった時は、次順位の者が相続人となります。この場合、次順位者が被相続人の借金などを引き継ぎたくなければ、次順位者も相続放棄の手続きをする必要があります。
先順位者が相続放棄をしているかどうか知りたい場合は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に照会することができます。

 

3.すでに遺産分割協議を終えた場合

被相続人の財産の中に借金などマイナスの財産がある場合は、遺産分割協議の内容を債権者に主張できないので注意が必要です。
例えば、相続人の中にプラスの財産を一切相続しない者がいる場合でも、マイナスの財産は法定相続分に従って当然に引き継ぐことになります。
また、特定の相続人だけが借金を引き受け、その他の相続人は一切借金を負わないという取り決めをしても、債権者の同意がなければ、債権者に対しては協議の内容を主張できません。これは、債務者の側で一方的に債務を引き継ぐ相続人を指定できるとすると、債権者が不利益を被る可能性があるからです。債権者にとってみれば、誰が債務者になるかによって債権回収に影響がでてきますので当然です。
従って、「遺産分割協議で話し合いがまとまったから大丈夫!」というわけではなく、借金などを承継したくない場合は、相続放棄や限定承認の手続きをすることが必要になります。これから遺産分割協議を予定していらっしゃる方も、この点にはご注意ください。

 

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